近年、せきやたんが長引く原因として「NTM症(非結核性抗酸菌症)」という感染症が急速に増加しています。
年間新規患者数は約2万人に達し、20年前の3倍に急増。症状が悪化すると生命に関わる場合もあることから、厚生労働省は2026年9月24日から初となる啓発週間をスタートさせます。
本記事では、NTM症の特徴や感染経路、かかりやすい人の特徴、そして受診の目安について分かりやすく解説します。
- 患者数の急増:新規患者は年間約2万人で、20年前の3倍に増加。
- 主な症状:長引く「せき」や「たん」。重症化すると死亡リスクも。
- かかりやすい層:痩せ型の中高年女性に最も多く見られる。
- 感染経路と特徴:水回り(シャワーヘッド等)や土壌に潜む菌を吸い込んで感染。人から人へは感染しない。
- 厚労省の対応:9月24日より初の啓発週間を設け、早期受診を呼びかけ。
NTM症とはどんな病気?原因と患者数の急増
NTM症(非結核性抗酸菌症)は、結核菌やライ菌以外の「抗酸菌」という細菌が肺などに感染することで引き起こされる病気です。
レントゲン画像に写る白い影と症状の特徴
医療機関で胸部レントゲンやCT撮影を行うと、結核に似た白い影が確認されるのが大きな特徴です。初期は自覚症状が少ない場合もありますが、進行すると長引くせきやたん、体力の低下などの症状が現れます。
年間新規患者数は約2万人に上り、20年前と比較すると3倍に増加しています。放置して症状が悪化した場合、命に関わることもあるため、早期の発見と適切な処置が重要視されています。
感染経路とリスクが高い人の特徴
病気についての理解を深めるために、感染の仕組みやどのような人がかかりやすいのか整理することが大切です。
身近な水回りや土壌が感染源に
NTM症の原因となる菌は特別な場所ではなく、私たちの身の回りの環境(土や水)に広く存在しています。特に、浴室のシャワーヘッドや水回りのヌメリなどに生息しており、細かい水滴(エアロゾル)と一緒に菌を吸い込むことで感染します。
なお、インフルエンザや新型コロナウイルスとは異なり、人から人へ感染(空気感染や飛沫感染)することはありません。そのため、周囲への感染拡大を極度に恐れる必要はありません。
痩せ型の中高年女性に多い理由
専門家(産業医科大学医学部・矢寺和博教授)によると、NTM症は「痩せ型の中高年女性」に最も多く発症する傾向が確認されています。
菌を吸い込んだ全員が必ず発症するわけではありませんが、体質や加齢、免疫力の変化などが重なることで発症しやすくなると考えられています。
NTM症の基本データ・特徴一覧
今回発表されたNTM症に関する主要なポイントを一覧表にまとめました。
| NTM症(非結核性抗酸菌症)の概要 | |
|---|---|
| 新規患者数 | 年間約2万人(20年前の3倍に増加) |
| 主な症状 | 長引くせき、たん(重症化で死に至るリスクあり) |
| 最も多い患者層 | 痩せ型の中高年女性 |
| 感染源・経路 | 浴室(シャワーヘッドなど)や土壌に潜む菌の吸入 |
| 人伝播の有無 | 人から人にはうつらない |
| 行政の対応 | 厚生労働省が9月24日から初の啓発週間を実施 |
予防法と早期受診の目安
日常生活での意識や、体調に異変を感じた際の対処法について知っておくことが大切です。
家庭でできる身近な衛生管理
完全に菌を排除することは難しいものの、菌の温床になりやすい住環境のお手入れを行うことが対策の一つです。例えば、シャワーヘッドを定期的に洗浄・ぬめり除去を行うことや、換気を良くして湿度を下げる工夫が有効とされています。
受診のサインは「1ヶ月以上続くせき」
専門家は「1ヶ月以上続くせきがある場合は、放置せず通院してほしい」と助言しています。風邪やアレルギーと見誤って我慢してしまい、発見が遅れるケースが少なくありません。
近年では研究が進み、治療薬の選択肢も増える傾向にあるため、早期に呼吸器内科などの医療機関を受診することが推奨されます。
読者が知っておきたいポイント
自分自身やご家族の健康を守るために意識したいポイントを整理しました。
・市販の風邪薬で様子を見続けない:せきやたんが1ヶ月以上長引く場合は、風邪と決めつけずに呼吸器内科を受診しましょう。
・周囲にうつす心配はない:人から人への感染はないため、家族内で過剰に隔離等を行う必要はありません。
・シャワーヘッドの清掃:お風呂場などの水回りを清潔に保ち、定期的にぬめりを取り除きましょう。
よくある質問(FAQ)
NTM症に関して気になりやすい疑問点について回答します。
まとめ
NTM症に関する重要なポイントをまとめます。
- NTM症の新規患者は年約2万人に達し、20年前の3倍に急増している。
- せきやたんが長引くのが特徴で、痩せ型の中高年女性に多く見られる。
- シャワーヘッドなどの水回りや土壌から感染するが、人から人へはうつらない。
- 1ヶ月以上せきが続く場合は、早めに医療機関を受診することが推奨される。
長引くせきやたんを「単なる風邪」「年齢のせい」と見過ごしてしまうことは、病気の発見を遅らせる原因になります。
日常生活の中に潜む菌が原因となるからこそ、住環境の衛生維持に配慮するとともに、自身の体調変化に敏感であることが大切です。
9月24日からの啓発週間をきっかけに、家族や周囲の方と予防意識を高め、違和感があれば早期受診に繋げていきましょう。

