長引く咳や痰はNTM症かも 原因はシャワーヘッドや土の菌

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「風邪は治ったはずなのに、咳や痰がなかなか止まらない」。そんな症状の陰に隠れていることがあるのが、「NTM症(非結核性抗酸菌症)」という感染症です。

新たに発症する人は年間約2万人と、20年前の3倍に増えています。原因菌は浴室のシャワーヘッドや水回り、土の中など身近な場所に存在しており、特に中高年の女性に多いとされています。

この記事では、NTM症の特徴や症状、患者が増えている背景、治療の難しさ、日常でできる対策を整理します。

この記事の要点

  • NTM症は結核菌以外の「抗酸菌」が主に肺に感染して起こる病気
  • 新規患者は年間約2万人で20年前の3倍、年間2000人以上が亡くなっている
  • 原因菌はシャワーヘッドや蛇口などの水回り、土の中に存在する
  • 人から人へはうつらないとされるが、抗菌薬が効きにくく治療は1年以上に及ぶことも
詳しく解説

NTM症とはどんな病気か

まずは、NTM症の原因となる菌の正体と、どのようにして感染するのかを確認します。

結核菌の「仲間」による感染症

NTMとは「非結核性抗酸菌」の略で、結核菌と同じ抗酸菌のグループに属する菌のうち、結核菌などを除いた約200種類の総称です。この菌が主に肺に感染して炎症を起こすのがNTM症です。

結核と違い、一般的に人から人へうつることはないとされています。

原因菌は身近な場所に

厚生労働省によると、原因菌は土の中などの自然環境のほか、浴室のシャワーヘッドや水道の蛇口などに生息しています。菌を含んだ細かな水しぶきやほこりを吸い込み、肺の中で菌が増えることで発症すると考えられています。

ただし、菌は環境中に広く存在しており、吸い込んだ人がすべて発症するわけではありません。

見逃しやすい症状と、なりやすい人

NTM症は風邪と症状が似ているため、気づくのが遅れがちです。注意したい症状と、発症しやすい人の特徴を見ていきます。

風邪との違いは「長さ」

主な症状は、長引く咳や痰、微熱、だるさ、血の混じった痰、体重減少、息苦しさなどです。一般的な風邪と大きく違うのは、症状が長く続くことです。

一方で、自覚症状がほとんどないまま進むケースや、良くなったり悪くなったりを繰り返すケースもあります。

こんな症状が続いたら受診を

  • 咳や痰が2週間以上続いている
  • 痰に血が混じる
  • 理由のはっきりしない体重減少やだるさがある

中高年の女性に多い理由

NTM症は特に中高年の女性に多くみられます。女性の気管支は男性に比べて痰を出しにくい構造であることや、年齢とともに免疫が低下することが理由と考えられています。

また、肺の持病がある人や免疫機能が低下している人は、感染のリスクが高くなるとされています。

患者数が増え続ける背景

NTM症はなぜ増えているのか。数字で見る現状と、専門家が指摘する背景を整理します。

数字で見るNTM症の現状
項目内容
新規患者数年間約2万人(20年前の約3倍)
推計患者数20万人以上
年間の死亡者数2000人以上
結核との比較2014年の調査で発症率が結核を上回る

「特殊な病気」から「身近な病気」へ

呼吸器の専門医からは、かつては珍しい病気だったものが、今では日常的に目にする病気になったとの声も上がっています。

増加の理由ははっきりしない点も多いものの、専門家は高齢化に加え、1980年代以降の風呂の追い焚き設備の普及や、免疫を抑える薬を使う治療の増加なども背景にあると指摘しています。検査技術の向上で見つかりやすくなったことも影響している可能性があります。

治療の難しさと日常でできる対策

NTM症は治療に時間がかかることが多い病気です。治療の特徴と、暮らしの中で心がけたいことをまとめます。

抗菌薬が効きにくく、治療は長期に

NTM症は抗菌薬が効きにくく、複数の薬を組み合わせて1年以上飲み続ける治療が一般的です。病状によっては点滴や吸入薬、手術が検討されることもあります。

専門家は、軽い風邪だと思って放置すると、数年かけてゆっくり悪化していくおそれがあると注意を呼びかけています。症状が軽くても、医師のもとで経過を見ていくことが大切です。

完全な予防は難しいが、できることも

原因菌は環境中に広く存在するため、感染を完全に防ぐことは難しいとされています。そのうえで、専門家が身近な感染経路として挙げる場所に気を配ることはできます。

暮らしの中で気をつけたいポイント

  • シャワーヘッドや浴室の排水口を定期的に掃除する
  • 台所の蛇口や排水口も清潔に保つ
  • 加湿器(特に超音波式)はこまめに手入れをする
  • 土いじりをするときは、ほこりを吸い込まないよう工夫する
  • 年に1回の胸部エックス線検査で早期発見につなげる

補足:NTM症の診断には、痰の検査や胸部CTなどが行われます。咳が長引く場合は、呼吸器内科など専門の医療機関に相談すると安心です。

よくある質問(FAQ)

NTM症について、検索されやすい疑問をまとめました。症状が気になる場合は医療機関に相談してください。

Q1.NTM症は人にうつりますか?
A.一般的に、人から人へうつることはないとされています。環境中の菌を吸い込むことで感染すると考えられています。
Q2.どんな症状が出たら受診すべきですか?
A.咳や痰が2週間以上続く、血の混じった痰が出る、体重が減るといった症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
Q3.NTM症は治りますか?
A.抗菌薬が効きにくく、1年以上の治療が必要になることが多い病気です。経過は人によって異なるため、医師と相談しながら治療や経過観察を続けることが大切です。
Q4.シャワーを使わないほうがよいですか?
A.菌は環境中に広く存在しており、シャワーを避ければ防げるものではありません。シャワーヘッドや排水口をこまめに掃除するなど、清潔を保つことが現実的な対策です。

まとめ

NTM症は、シャワーヘッドなどの水回りや土の中にいる菌を吸い込むことで起こる肺の感染症です。新規患者は年間約2万人に増え、特に中高年の女性に多くみられます。

人にはうつらないものの、治療は長期にわたることが多く、早期発見が重要です。長引く咳や痰を「ただの風邪」と思い込まず、気になる場合は早めに受診することが大切です。

毎日使う浴室や台所が、病気の入り口になりうるという事実には驚かされます。

ただ、必要以上に恐れる必要はなく、知っておくことで早く気づき、早く対処することができます。

「最近、咳が長引いているかも」と感じたら、自分の体の小さなサインに耳を傾けることが、健康を守る第一歩になります。

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