新宿区、都内初の民泊業務停止命令　報告義務違反と住民苦情増加が背景

2025年9月13日

東京都新宿区が2025年9月12日、民泊事業者に対し都内初となる業務停止命令を発表しました。対象は12事業者22部屋で、住宅宿泊事業法で定められた報告義務に従わなかったことが理由です。

この記事では、事件の詳細、背景、行政の対応、専門家の分析、今後の影響までを網羅的に解説します。

要点

事件・不祥事の概要

新宿区は、住宅宿泊事業法に基づく定期報告（2か月ごとの利用者数など）を怠った12事業者22部屋に対し、30日間の業務停止命令を出しました。報告義務を守らなかったうえ、区の改善指導にも従わなかったことが処分の決め手です。

区によると、民泊施設の数は全国最多の3272件に達しています。一方で、管理不足によるごみの放置や騒音、喫煙マナー違反といった問題が頻発。2021年度には70件だった苦情が、2024年度には561件と急増し、住民生活への影響が深刻化していました。

新宿区長は「不適切な管理であっても商売が成り立つのはあってはならない」と強調。今回の処分をきっかけに、今後は民泊の管理体制そのものにも踏み込んでいく考えを示しました。

住民から寄せられる苦情の多くは、深夜の騒音やごみの散乱、たばこのポイ捨てといった生活環境の悪化に直結する内容です。とりわけ観光客が集中するエリアでは、地域住民との摩擦が強まりつつあります。

区はこれまで保健所を通じて随時指導を行ってきましたが、改善されない事例が多発。今回の停止命令は「厳しい姿勢を示す」ための措置であり、都内で初の事例となります。

都市政策の専門家は「民泊は観光振興に寄与する一方で、管理が不十分だと生活環境の悪化を招く。自治体は違反事業者の監視強化と同時に、健全に運営する事業者への支援策も必要」と指摘しています。

SNSでは「やっと厳しく取り締まったか」「住民の声が届いた」と歓迎の声がある一方、「短期的な停止では効果が薄いのでは」といった懸念も見られます。観光と地域共生をどう両立させるかが議論の焦点となっています。

今回の措置により、他区や他都市でも同様の厳格な対応が広がる可能性があります。また、違反を繰り返す事業者には長期的な営業停止や登録取り消しといったさらに重い処分も検討される見通しです。

Q. 今回の停止命令はどれくらいの期間？
A. 対象の22部屋について、30日間の営業停止となります。

Q. 停止命令を受けた理由は？
A. 定期報告を怠り、区からの改善指導にも従わなかったためです。

Q. 今後、さらに厳しい処分もあり得る？
A. はい。違反を繰り返す場合、登録取消や長期停止も検討されます。

新宿区が発令した都内初の民泊業務停止命令は、地域社会における「生活環境の守り」と「観光との共存」の難しさを象徴しています。

今後は監視の強化に加え、適正運営を行う事業者との協力体制を築けるかが課題となるでしょう。