働く祖父母世代を支援する「孫休暇」が注目されています。孫の看病や保育園の送迎、学校行事などを理由に、仕事を休める制度です。
2026年10月27日には、太陽生命保険が導入した年間10日の有給「孫休暇」が報じられました。同社では申請当日の取得も可能で、導入から約1年間でおよそ70人が利用したと伝えられています。
一方、九州電力送配電やSOMPOひまわり生命、リンガーハットなどでも、それぞれ異なる仕組みの制度が導入されています。
この記事では、孫休暇の導入企業、取得日数、有給・無給の違い、対象者、企業が就業規則を整備する際のポイントを比較します。
- 孫休暇は法律で一律に義務付けられた休暇ではなく、企業独自の制度が中心
- 太陽生命は年10日の有給休暇を別枠で付与
- 九州電力送配電は孫1人で年5日、2人以上で年10日
- SOMPOひまわり生命は年次有給休暇のうち最大7日を活用
- 就業規則には対象者、取得条件、日数、賃金、申請方法などを明記する
孫休暇とは?シニア社員を支える新しい休暇制度
孫休暇は、祖父母が孫の育児や看病などに参加できるよう、勤務先が休暇取得を認める仕組みです。導入する企業によって制度名や対象範囲が異なります。
孫の看病・送迎・学校行事などに利用
孫休暇の利用目的には、孫が病気になった際の看病、保育園の送迎、出産前後の育児支援、入学式や運動会への参加などがあります。
ただし、すべての企業で同じ目的に使えるわけではありません。看病を中心とする制度もあれば、幅広い育児支援を認める制度もあります。
法律上の育児休業とは違う
孫休暇は、一般に企業が自主的に設ける特別休暇制度です。法定の育児休業や子の看護等休暇とは異なり、祖父母であることだけを理由に、すべての会社へ一律の付与義務があるわけではありません。
そのため、年間取得日数、給与の有無、対象となる孫の年齢などは、勤務先の規定によって決まります。
孫休暇の導入企業一覧|日数・有給を比較
実際に導入している企業では、年間5~10日程度の休暇を設ける例が確認できます。ただし、年次有給休暇とは別枠なのか、既存の有給休暇を活用するのかで内容は大きく異なります。
| 企業名 | 日数 | 給与・休暇の扱い | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 太陽生命 | 年10日 | 別枠の有給 | 看病・送迎・行事・出産準備。時間単位取得可 |
| 九州電力送配電 | 年5日/10日 | 特別休暇。給与扱いは規定確認 | 小学3年生までの孫。時間単位取得可 |
| SOMPOひまわり生命 | 最大7日 | 既存の年次有給休暇を活用 | 孫・甥姪・弟妹の育児支援 |
| リンガーハット | 年6日 | 積立有給休暇などを活用 | 小学生以下の孫。月3日まで |
※2026年10月28日までに確認できた公表資料に基づく比較。制度の改定や個別条件については各社の最新規定をご確認ください。
太陽生命は年10日|当日申請も可能
太陽生命は2025年10月1日に孫休暇を導入しました。祖父母世代の社員が、孫の育児に参加しやすくすることを目的としています。
年次有給休暇とは別枠で取得
太陽生命の制度は、孫の人数にかかわらず年間10日を付与する仕組みです。時間単位で分割取得することもできます。
2026年10月27日の報道では、通常の年次有給休暇とは別枠の有給休暇であり、当日申請にも対応すると紹介されています。
- 孫が急に発熱した際の看病
- 保育園や幼稚園への送迎
- 入学式などの学校行事
- 出産前後の育児・家事支援
九州電力送配電の孫育休暇は年5日・10日
九州電力送配電は2023年12月1日から、孫の育児を支援するための休暇制度を導入しました。対象となる孫の人数によって年間日数が異なります。
小学3年生までの孫が対象
対象は小学3年生までの孫で、孫が1人の場合は年5日、2人以上の場合は年10日です。時間単位での取得も認められています。
孫の誕生時の立ち会いや世話、看病などを対象とする特別休暇として設けられました。
なお、九州電力の別の両立支援資料には有給の子・孫向け看護休暇が記載されていますが、九州電力送配電の制度と給与条件を完全に同一視せず、所属会社の規定を確認する必要があります。
SOMPOひまわり生命は最大7日
SOMPOひまわり生命は2023年10月に「まご・おいめい育児休暇」を創設しました。孫だけでなく、甥・姪・弟・妹の育児を支援する点が特徴です。
既存の年次有給休暇を利用
同社の公式サイトでは、年次有給休暇のうち年度内最大7日を、対象となる家族の育児支援に活用する制度と説明されています。
つまり、年次有給休暇とは別に7日が追加付与される制度ではありません。分割取得も可能とされています。
リンガーハットは年6日の育孫休暇
飲食チェーンのリンガーハットでも、小学生以下の孫を持つ社員を対象とした育孫休暇制度が導入されています。
積立有給休暇を活用する仕組み
取得可能日数は年間6日で、1か月の利用上限は3日です。失効した年次有給休暇を積み立てる制度を活用し、積立分がない場合は通常の年次有給休暇を使用します。
新たな有給日数を一律に追加する方式ではなく、既存の休暇制度を育孫目的にも使えるようにする方式です。
孫休暇は有給?無給?3つの制度設計
孫休暇という名称が同じでも、給与の扱いは会社によって異なります。従業員と企業の双方にとって、最も確認しておきたい部分です。
| 方式 | 特徴 |
|---|---|
| 別枠の有給特別休暇 | 通常の年次有給休暇を減らさず取得できる |
| 既存の有給休暇活用 | 年次有給休暇や積立休暇を孫育てに使う |
| 無給の特別休暇 | 休暇取得を認めるが、休暇中の賃金は支払わない設計 |
無給の特別休暇も制度設計上は考えられますが、上記の導入企業すべてが無給制度を採用しているという意味ではありません。
孫休暇を導入するには?就業規則の記載例
企業が孫休暇を新設する場合は、対象者や取得条件を明確にすることが大切です。以下は年5日の有給特別休暇を新設する場合の一般的な条文例です。
就業規則のモデル条文
1.会社は、小学校3年生修了までの孫を有する従業員が、当該孫の看護、養育、送迎または学校行事への参加のために申し出た場合、1年度につき5日を限度として孫育児支援休暇を付与する。
2.前項の休暇は有給とし、所定労働時間勤務した場合に支払われる通常の賃金を支給する。
3.本休暇は、年次有給休暇とは別に付与する。
4.本休暇は、1日単位または1時間単位で取得できる。
5.取得を希望する従業員は、原則として事前に会社へ申し出るものとする。ただし、緊急の場合は事後速やかに申し出ることができる。
6.未取得日数は翌年度に繰り越さない。
※上記は説明用の独自モデルであり、各社の実際の就業規則ではありません。導入前に社会保険労務士などの専門家による確認が必要です。
企業が導入前に決めておきたい項目
- 対象となる従業員の雇用区分
- 孫の年齢・人数と取得可能日数
- 看病、送迎、行事参加などの対象理由
- 有給か無給か、給与の計算方法
- 時間単位取得の可否
- 当日申請・事後申請の条件
- 年度途中の入社・退職時の扱い
常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則の作成・変更に関する労働基準法上の手続きにも注意が必要です。
孫休暇が広がる背景と企業のメリット
定年延長や継続雇用によって、孫のいる世代が働き続ける機会が増えています。一方、子育て世代では共働き家庭などで育児と仕事の両立が課題となっています。
祖父母世代と子育て世代を同時に支援
孫休暇は、祖父母が育児を手伝いやすくなるだけでなく、子育て中の親の負担軽減にもつながる可能性があります。
企業側にとっても、シニア社員の働きやすさの向上や、幅広い世代が休暇を取得しやすい職場づくりに役立つと考えられます。
よくある質問(FAQ)
孫休暇の利用を検討する従業員や、導入を考える企業担当者向けに、基本的な疑問をまとめました。
まとめ|孫休暇は日数と有給条件の確認が重要
孫休暇は、働く祖父母世代が育児支援に参加しやすくするための制度です。
太陽生命、九州電力送配電、SOMPOひまわり生命、リンガーハットなどで導入事例があり、年間日数や給与の扱いには違いがあります。
従業員は勤務先の就業規則を確認し、企業は制度の目的に合った取得条件を明確にすることが重要です。
孫の看病や育児支援は、家族の事情によって突然必要になることがあります。
働き続けたい祖父母世代と、育児の助けを必要とする親世代。その双方を支える仕組みとして、孫休暇には意味があります。
今後は導入企業の数だけでなく、実際に利用しやすい申請方法や、休暇中の賃金保障がどこまで整備されるかにも注目が集まりそうです。
- 九州電力送配電・孫育休暇の導入発表
- SOMPOひまわり生命・DEIの取り組み
- 太陽生命・孫休暇制度の新設
- ITmedia・リンガーハット育孫休暇
- 厚生労働省・特別休暇制度の導入事例
- ABEMA TIMES・2026年10月27日の孫休暇報道
※2026年10月28日時点で確認できた公表情報を基に作成しています。
