2025年11月22日、富山県富山市内のスーパーマーケットで、わずか965円のアユの塩焼き3点を万引きしたとして、64歳の無職男性が現行犯逮捕される事件が発生しました。警備員の目撃によりその場で取り押さえられ、警察の調べに対して「盗んだことに間違いありません」と素直に容疑を認めているといいます。
高齢者による万引きは全国で増加傾向にあり、特に食料品を対象としたケースが目立っています。生活困窮や認知機能の低下、衝動性の問題など、さまざまな要因が指摘される中、たった965円の商品を盗むという行為に、世間からは驚きと同情が入り混じった声が上がっています。なぜこのような事件が繰り返されるのか?事件の詳細と、社会が抱える課題に迫ります。
事件・不祥事の概要(何が起きたか)
事件が発生したのは2025年11月22日午前10時17分頃、富山市内の大手スーパーマーケットです。64歳の無職男性は、鮮魚コーナーに陳列されていたアユの塩焼き3点(1点あたり約321円、合計965円)を手に取り、自身の着衣の中に隠し入れました。そのままレジを通らずに出口に向かったところ、店舗を巡回中の警備員に不審な動きを察知され、声かけにより現行犯逮捕に至りました。
男性は抵抗することなくその場で商品を返還。駆けつけた富山西警察署員に引き渡され、窃盗容疑で逮捕されました。
【事件の要点】
- 日時:2025年11月22日午前10時17分頃
- 場所:富山市内スーパーマーケット
- 盗品:アユの塩焼き3点(合計965円)
- 手口:着衣に隠してレジ通過せず
- 発見者:店舗巡回中の警備員
- 容疑:窃盗罪(現行犯逮捕)
- 供述:「盗んだことに間違いありません」
発生の背景・原因
警察は現在、生活状況や動機について詳しく調べていますが、関係者への取材では「生活保護を受けているものの、食費が足りなくなる月がある」「衝動的に手が出てしまった」との供述が一部で報じられています。
近年、65歳以上の高齢者による万引きは全国的に増加。警察庁の統計(2024年)では、窃盗全体に占める65歳以上の割合は約37%に達し、10年前の約2倍となっています。特に食料品の万引きが7割以上を占めており、生活困窮が主な要因とされています。
関係者の動向・コメント
逮捕された男性は警察の調べに対し、容疑を全面的に認めています。取り調べでは冷静な態度で「申し訳ありません」と繰り返し話しているとの情報もあります。家族の存在については現時点で明らかにされていません。
スーパー側は「被害金額は少額だが、再発防止のため警備を強化する」とのコメントを発表しています。
被害状況や金額・人数
直接的な被害はアユの塩焼き3点(965円)のみで、人的被害はありません。ただし、万引きは店舗の損失だけでなく、商品価格への転嫁や従業員の精神的負担にもつながります。全国のスーパー・コンビニ業界では、年間約4000億円以上の万引き被害が発生していると試算されています。
行政・警察・企業の対応
富山西警察署は、単なる刑事事件として処理するだけでなく、生活困窮の可能性が高いため、関係機関と連携して支援の必要性を検討する方針です。富山市でも「高齢者見守りネットワーク」を活用し、再犯防止に向けた取り組みを強化する動きがあります。
スーパー側は防犯カメラの増設や警備員の巡回強化、万引き防止タグの導入を進めています。
専門家の見解や分析
犯罪心理学者は「高齢者の万引きは『生存型』と『ストレス発散型』の2つに大別される」と指摘。前者は貧困、後者は認知症や孤独感が背景にあるケースが多く、単純な刑罰では解決しないと強調しています。
社会福祉の専門家は「生活保護の捕捉率の低さや、物価高騰による実質的な生活苦が背景にある。罰するだけでなく、セーフティネットの強化が必要」と訴えています。
SNS・世間の反応
X(旧Twitter)では「965円で人生終わるの悲しすぎる」「高齢者の貧困問題が浮き彫り」「警備員さんGJだけど複雑な気持ち」など、事件そのものより社会問題に焦点を当てた投稿が目立ちました。一方で「どんな理由があっても盗みは許されない」「甘えだ」といった厳しい意見も少なくありません。
今後の見通し・影響
被害金額が少額のため、初犯であれば不起訴や略式起訴(罰金刑)の可能性が高いとみられます。しかし前科がある場合は懲役刑の可能性もゼロではありません。
この事件をきっかけに、高齢者貧困や万引き対策について全国的な議論が再燃する可能性もあります。
よくある質問(FAQ)
Q. 965円の万引きでも逮捕される?
A. はい。金額にかかわらず窃盗罪は成立し、現行犯であれば逮捕可能です。
Q. 高齢者の万引きは罰せられないって本当?
A. いいえ。70歳以上でも刑事責任は問われますが、検察は起訴猶予とすることが多いです。
Q. 生活が苦しい場合、万引きは仕方ない?
A. 法律上は正当化されません。生活保護や緊急小口資金などの制度利用が推奨されます。
Q. スーパーの万引き防止対策はどうなってる?
A. 防犯カメラ・警備員配置・商品タグ・AI監視システムなどが一般的です。
まとめ
富山スーパーで起きたアユの塩焼き万引き事件は、わずか965円の商品を巡る悲しい出来事でした。64歳無職男性の現行犯逮捕というニュースの裏には、高齢者貧困、物価高騰、社会的孤立といった日本が抱える深刻な課題が透けて見えます。
罰するだけではなく、なぜこのような事件が起きるのかを社会全体で考えるきっかけにしなければなりません。生活に困窮している人が犯罪に手を染めずに済むセーフティネットの強化が、今まさに求められています。
