兵庫県クマ対策が全国唯一の成功、個体数管理で被害最小限に抑えた3つの秘策

都市上空に伸びる道を歩くクマと「プラネット・チェックリスト」の文字イラスト

2025年11月8日、テレビ朝日「サタデーステーション」で、全国で唯一の成功事例として兵庫県のクマ対策が紹介された。

深刻さを増すクマ被害に対し、兵庫県は個体数管理、専門職員の配置、ゾーン捕獲という3つの独自対策により、2024年に14年ぶりのドングリ大凶作でクマ出没が倍増したにもかかわらず、人身被害を最小限(2024年2件、2025年1件)に抑え込んだ。

京都では生息していないはずの「空白地域」にまでクマが出没し、自治体が「何をしたらいいのか勉強しなきゃいけない」と困惑する中、兵庫県は20年以上のデータ蓄積と科学的根拠に基づく対策で、クマと人の共生を実現している。

本記事では、兵庫県のクマ対策の詳細、マイクロチップとGPSによる科学的調査、京都など他県との比較、専門家の分析、そして全国が直面する「正確な個体数把握」の課題まで、徹底解説します。

■ 兵庫県クマ対策の概要
項目 内容
対策の特徴 全国で唯一の個体数管理、専門職員16人配置、ゾーン捕獲
クマ推定生息数 700〜800頭(2025年現在)、毎年15%増加傾向
人身被害 2024年2件、2025年1件(大凶作にもかかわらず最小限)
マイクロチップ実績 2003年以降、3400頭以上にマイクロチップを埋込み
GPS調査 延べ50頭のクマにGPSを装着、行動範囲を詳細に調査
専門職員数 全国最多の16人(クマ人身被害のおそれがある都道府県で突出)
ゾーン捕獲 集落から200メートル以内に箱ワナ設置、人里近くのクマを積極駆除
バッファーゾーン 低木伐採で見通し確保、個体数管理と併用で効果発揮
新技術導入 2025年7月から、自動で電圧が戻る電気柵の試験運用開始
対策の歴史 20年以上前から個体数調査開始、8年前に駆除含む管理へ舵切り

兵庫県が全国で唯一成功したクマ対策 個体数管理で被害を最小限に抑制

目次

京都「空白地域」にクマ出没、対策マニュアルゼロから作成の困惑

2025年11月8日、テレビ朝日「サタデーステーション」は、深刻化するクマ被害の打開策として、兵庫県の先進事例を特集した。

京都では、人気観光地の嵐山などでクマの目撃情報が相次ぎ、奈良との県境にある木津川市では、2007年から2024年までクマの目撃がゼロだった「空白地域」にも出没が始まった。11月8日だけでクマとみられる動物が目撃され、累計で49件に達している。

市の農政課職員は、7日、クマの目撃情報があった畑でカメラを設置しながら、以下のように困惑の声を上げた:

クマの生息している地域ではないという認識でありましたので、こんなところにクマが出るんだっていう、本当にもう初めてで。何をしたらいいのか、どういう対策をしたらいいのか、といったところから勉強しなきゃいけない。」

京都府と相談しながらクマ対策のマニュアルを作成するというが、対策の出発点から手探り状態となっている。

一方、京都で30年以上猟師をしている67歳の男性は、8日、シカやイノシシなどの罠を見回りながら、今年山で「ある異変」を感じていると語った:

「今年はたくさんどんぐりが落ちています。去年はこんなに落ちていなかった。ここに罠が仕掛けてありますけど、かからないですね。子グマが去年かかりましたけどね。」

今年、福知山市周辺のどんぐりの量は2024年よりも豊作だが、毎年クマに食べつくされるはずのどんぐりが大量に残っていた。京都などでは、山に餌があるのになぜか人里におりてきている状況が起きている。

【対策①】全国で唯一の個体数管理 マイクロチップで3400頭以上を追跡

京都が手探りで対策を模索する中、兵庫県は20年以上のデータ蓄積と科学的根拠に基づく対策で、クマ被害を最小限に抑え込んでいる。

兵庫県立大学の研究者(兵庫県森林動物研究センター研究部長も務める)は、県のクマ対策に20年以上携わっており、以下のように説明する:

「2024年、14年ぶりにドングリなどが大凶作になり、クマの出没件数が倍増。去年は2件、今年は1件の人身被害が起きている兵庫県。あらかじめ(クマの)数を減らしていく、ということをしてきたために、被害としては最小限に抑えることはできたかなと思う。」

兵庫県の3つの特徴的なクマ対策が功を奏していた。

全国で唯一、兵庫県だけが行っているのが、独自のデータに基づいた個体数の管理だ。ヘルメットをかぶり、シールドを持った県の職員が向かう先には、箱ワナにかかったクマ。麻酔で眠らせ、首元に注射器で打ち込んだのは「マイクロチップ」だ。

研究者は、個体数推定の仕組みを以下のように説明する:

「翌年捕まった(クマの)中に、マイクロチップが何割くらいいるのか、そういった比率をベースに個体数推定を行っています。」

クマの生息数が少ない場合は、捕獲したクマにマイクロチップをつけて放すと、翌年に捕獲されるクマの中にも、マイクロチップをつけたクマが含まれる割合が多くなる傾向がある。一方でクマの生息数が多い場合は、捕獲したクマにマイクロチップをつけて放すと、翌年に捕獲されるクマの中に、マイクロチップをつけたクマが含まれる割合が少なくなる傾向がある。

2003年以降、捕獲後に野生に返したクマは3400頭以上。その全てにマイクロチップを埋込み、データを取り続けてきたことで、より精度の高い個体数の推定が可能になった。

兵庫県内のクマは、現在700〜800頭いるとみられ、さらに、毎年15%ほどの割合で増えていることも分かっている。これは、放置すれば5年でクマが2倍になってしまう割合だ。

「毎年15%ぐらい増えることが分かっているので、15%ぐらいは数を減らしていく取組みが同時にないと(共生は難しい)。」

【対策②】全国最多の専門職員16人配置 保護から管理へ8年前に舵切り

クマの専門知識を持った自治体職員が多いのも兵庫県の特徴だ。その数は全国最多の16人。クマの人身被害のおそれがある都道府県の中でも突出している。

そもそも、兵庫県は当初、クマの保護のために個体数調査を始めた。しかし、15年前にクマが増えすぎる可能性があることが分かり、8年前、駆除も含む個体数管理へと舵を切った

まもなく狩猟期間が始まるが、今年はクマが減りすぎていることから、クマの狩猟を禁止に。クマを減らさない判断ができるのも、個体数を把握できているからだ。

また、延べ50頭のクマにGPSをつけ、行動範囲の調査も続けてきた。9歳・雄グマの1年間の動きを見てみると、東側の山に放獣されたクマが人里を渡って西側の山に行き、その後冬眠。冬眠後は、東西の山を行き来していたが、人里は最短ルートで横切っていたようだ。

研究者は、クマの学習能力について警告する:

最初は(人里を)ビクビク、サッと渡っている状況なんですが、渡った時にたまたま柿の木がある、栗の木がある、美味しいものがあると、覚えてしまう可能性がある。」

【対策③】ゾーン捕獲&シカ用箱ワナ活用 集落200m以内で積極駆除

兵庫県ではワナの使い方も特徴的で、「ゾーン捕獲」と呼ばれている。集落から200メートル以内の範囲で、クマ被害が出る前に箱ワナを設置。人里近くに住むクマを積極的に駆除しているという。

研究者は、シカ対策用ワナの活用について説明する:

「こちらが通常はシカ・イノシシを捕獲するワナなんですけど、ツキノワグマも捕獲可能な許可を出している。」

兵庫県ではシカ対策用に箱ワナを多く持っていたことから、クマの捕獲にも使えるよう、制度を変更した。

さらに、7月からは新たな取り組みもスタートさせていた:

「メンテナンス不要の電気柵を今試験していて。」

これは、自動で電圧が戻るという電気柵。通常は、落ちた枝が触れたりすると、電圧が下がったままになってしまうという。

いつもと違うものが置かれていると、普通のクマは”鼻探索”をする。その時に電圧が効かなかった経験があると、くぐって入っていく行動に発展してしまうので、一番最初がやっぱり肝心。」

■ 兵庫県と他県のクマ対策比較
項目 兵庫県(対策先進県) 京都など他県
個体数把握 700〜800頭と正確に推定(マイクロチップ3400頭以上) 推定個体数に大きな幅(例:2000〜4000頭)
専門職員 全国最多の16人 数人程度、または専門職員なし
対策の歴史 20年以上前から個体数調査、8年前に管理へ舵切り 対策マニュアルをゼロから作成中
捕獲方法 ゾーン捕獲(集落200m以内で積極駆除)、シカ用ワナ活用 罠設置も試行錯誤、シカ用ワナの転用なし
データ活用 GPS50頭、マイクロチップ3400頭以上で科学的分析 データ蓄積が不足、科学的根拠に基づく対策が困難
人身被害 2024年2件、2025年1件(大凶作でも最小限) 被害増加傾向、空白地域にも出没
狩猟制限 個体数把握により、減りすぎた年は狩猟禁止 個体数不明で、狩猟制限の判断困難

兵庫県クマ対策の深層 「バッファーゾーン」が有効に機能する条件とは

「バッファーゾーン」だけでは不十分 個体数管理と併用で初めて効果

研究者は、クマが人里に近づきにくくするための「バッファーゾーン」の実地を案内した:

「こちらがバファーゾーン整備事業を行った場所になります。」

整備していない場所と比べると、木の枝や低木が伐採され、見通しが良くなっていることがわかる。

しかし、研究者は重要な指摘をする:

クマの個体数管理や柿の木などの除去ができて初めて、『バッファーゾーン』が有効になる。クマの数が増えてくると、被害防除に加えて個体数管理も強化しないと、クマという動物と共存していくのは難しいなと。」

この指摘は、バッファーゾーンという「物理的対策」だけでは不十分であることを明確に示している。

多くの自治体が「バッファーゾーン整備」を進めているが、個体数管理を併用しなければ、効果は限定的だ。兵庫県の成功は、①個体数管理、②専門職員配置、③ゾーン捕獲、④バッファーゾーン、⑤柿の木除去という、複合的な対策の結果である。

京都で起きている異変「山に餌があるのに人里へ」の真因

京都では、今年どんぐりが豊作にもかかわらず、クマが人里に降りてくる異変が起きている。

森林総合研究所の研究者は、この現象について以下のように分析する:

山のほうで実りがよかったとしても人間の食べ物、それが簡単に手に入る場所とか方法を身に付けてしまっていたら、そういった人間の食べ物を食べ続けるという事もあり得ると思います。」

これは、兵庫県の研究者が指摘した「クマの学習能力」と一致する。一度人里の食べ物の味を覚えたクマは、山に餌があっても人里に降りてくる可能性がある。

この問題の深刻さは、「餌不足だから人里に降りる」という単純な構図ではない点にある。クマが人里の食べ物を学習してしまった後は、山の餌を増やすだけでは解決しない

兵庫県の対策が有効なのは、「人里近くのクマを積極駆除するゾーン捕獲」により、学習したクマを排除している点だ。

全国が直面する「正確な個体数把握」の壁 予算と人材不足の現実

番組では、環境省がまとめた全国のクマの推定個体数も紹介された。

数が多いのは北海道や秋田県、福島県などで4000頭以上。気になるのは、今年、被害が相次いでいる山形県や岩手県で、こちらは2000〜4000頭と、かなり幅がある表現になっている。

森林総合研究所の研究者にうかがうと、以下のような課題が明らかになった:

「クマの数は各自治体が調査しているが、県内すべての山や森を調べるのは難しく、限られた区域での結果をもとに推定しているため、どうしても誤差が生じてしまう。」

さらに、研究者は深刻な問題を指摘する:

「いま”クマの数を減らす”という話が出ているが、正確な個体数がわからなくては”どこまで減らせばいいのか”議論をする際の材料が無い。」

そして、最大の障壁は以下だという:

数字の精度を高めるためには、より広い範囲で長期間の調査を行う必要があり、それには予算と人材が足りない。」

兵庫県が成功した背景には、20年以上の長期調査と、全国最多16人の専門職員配置がある。しかし、多くの自治体には、この予算と人材がない。

■ 兵庫県クマ対策の実施プロセス
ステップ 実施内容 効果・目的
①個体数調査 捕獲したクマ3400頭以上にマイクロチップ埋込み、翌年の再捕獲率で推定 700〜800頭と正確に把握、毎年15%増加も判明
②GPS調査 延べ50頭のクマにGPS装着、行動範囲を1年間追跡 人里の横切り方、学習パターンを分析
③ゾーン捕獲 集落から200m以内に箱ワナ設置、被害前に人里近くのクマを駆除 学習したクマを排除、人里への接近を抑制
④シカ用ワナ転用 シカ・イノシシ用の箱ワナをクマ捕獲にも許可 既存資源の活用で効率化
⑤バッファーゾーン整備 低木伐採で見通し確保、クマが近づきにくい環境作り 個体数管理と併用で効果発揮
⑥柿の木除去 人里の柿の木など誘因物を除去 クマの学習を防止
⑦新技術導入 自動で電圧が戻る電気柵の試験運用(2025年7月〜) メンテナンス不要で常時効果維持
⑧狩猟制限 個体数が減りすぎた年は狩猟禁止 絶滅防止と適正個体数維持の両立

兵庫県クマ対策に関するよくある質問

Q1. なぜ兵庫県だけが個体数管理に成功しているのですか?

A. 兵庫県は20年以上前から個体数調査を開始し、2003年以降、捕獲したクマ3400頭以上にマイクロチップを埋め込んできました。

この長期的なデータ蓄積により、翌年の再捕獲率をもとに精度の高い個体数推定が可能になりました。現在、兵庫県内のクマは700〜800頭と正確に把握され、毎年15%増加していることも判明しています。

さらに、全国最多の16人の専門職員を配置し、科学的根拠に基づく対策を継続してきたことが成功の鍵です。

Q2. 兵庫県の「ゾーン捕獲」とは何ですか?

A. ゾーン捕獲とは、集落から200メートル以内の範囲に箱ワナを設置し、クマ被害が出る前に人里近くのクマを積極的に駆除する手法です。

人里の食べ物を学習したクマを排除することで、クマの人里への接近を抑制します。また、シカ・イノシシ用の箱ワナをクマ捕獲にも転用し、既存資源を効率的に活用しています。

Q3. なぜ京都では山に餌があるのにクマが人里に降りてくるのですか?

A. 森林総合研究所の研究者によると、「一度人間の食べ物の味を覚えたクマは、山に餌があっても人里に降りてくる可能性がある」といいます。

兵庫県の研究者も、「最初はビクビク渡っている状況だが、渡った時にたまたま柿の木がある、美味しいものがあると、覚えてしまう」と指摘しています。

クマの学習能力が高いため、山の餌を増やすだけでは解決せず、人里近くのクマを積極駆除する「ゾーン捕獲」が必要です。

Q4. バッファーゾーンだけではクマ対策にならないのですか?

A. 兵庫県の研究者は、「クマの個体数管理や柿の木などの除去ができて初めて、バッファーゾーンが有効になる」と指摘しています。

バッファーゾーンは低木を伐採して見通しを良くする「物理的対策」ですが、個体数管理を併用しなければ効果は限定的です。兵庫県の成功は、個体数管理、ゾーン捕獲、バッファーゾーン、柿の木除去という複合的な対策の結果です。

Q5. 全国の自治体が兵庫県のような対策を導入できない理由は何ですか?

A. 最大の障壁は予算と人材不足です。

森林総合研究所の研究者によると、「数字の精度を高めるためには、より広い範囲で長期間の調査を行う必要があり、それには予算と人材が足りない」といいます。

兵庫県は20年以上の長期調査と、全国最多16人の専門職員配置により成功していますが、多くの自治体にはこの予算と人材がありません。

Q6. 兵庫県でも人身被害はゼロではないのですか?

A. 兵庫県でも、2024年に2件、2025年に1件の人身被害が発生しています。

しかし、2024年は14年ぶりのドングリ大凶作でクマ出没が倍増した年にもかかわらず、「あらかじめ数を減らしていたために、被害としては最小限に抑えることができた」と研究者は説明しています。

完全にゼロにすることは困難ですが、他県と比較して被害を大幅に抑制している点が評価されています。

Q7. 専門家は今後のクマ対策にどのような提言をしていますか?

A. 番組に出演した専門家は、以下のように提言しています:

「予算と人材が足りないのであれば、どうすれば予算を増やせるのか、人材を確保できるのか。自治体任せにせず、国がリーダーシップをとってクマの生息数の把握だけではなく、クマと人の棲み分けができるようにするためには何が必要なのか、これまで以上に踏み込んだ対策に舵を切る段階に来てると思います。」

また、別の専門家は「被害を防ぐためにも、そして生態系を守ることも同時に大切。そのためにも、やはり実態把握が欠かせないが、正確な数字がつかめないというところに対策の難しさがある」と指摘しています。

■ 兵庫県クマ対策の成功要因まとめ
項目 内容
成功の本質 20年以上の長期データ蓄積と科学的根拠に基づく対策
3つの独自対策 ①個体数管理(マイクロチップ3400頭以上)、②専門職員16人配置、③ゾーン捕獲
個体数把握 700〜800頭と正確に推定、毎年15%増加も判明
GPS調査 延べ50頭で行動範囲分析、クマの学習パターンを把握
複合的対策 個体数管理、ゾーン捕獲、バッファーゾーン、柿の木除去を併用
新技術導入 自動で電圧が戻る電気柵の試験運用(2025年7月〜)
他県との比較 京都など他県は対策マニュアルゼロから作成、個体数推定に大きな幅
全国の課題 予算と人材不足で正確な個体数把握が困難、国のリーダーシップが必要

兵庫県が示した「クマと人の共生」の現実解 国が舵を切るべき段階に

兵庫県のクマ対策成功例は、20年以上の長期データ蓄積と科学的根拠に基づく対策が、クマと人の共生を実現できることを証明した。

マイクロチップ3400頭以上、GPS50頭という膨大なデータにより、兵庫県は700〜800頭という正確な個体数把握と、毎年15%増加という増加率を把握している。この科学的根拠が、①個体数管理、②専門職員16人配置、③ゾーン捕獲という3つの独自対策を支えている。

一方、京都など他県は「何をしたらいいのか勉強しなきゃいけない」と困惑し、個体数推定も2000〜4000頭と大きな幅がある。森林総合研究所の研究者が指摘する通り、「正確な個体数がわからなくては、どこまで減らせばいいのか議論する材料がない」のが現実だ。

専門家が提言するように、「自治体任せにせず、国がリーダーシップをとって、これまで以上に踏み込んだ対策に舵を切る段階に来ている」。兵庫県の成功は、予算と人材を投入すれば、クマと人の共生が可能であることを示している。

バッファーゾーンだけでは不十分で、個体数管理、ゾーン捕獲、柿の木除去という複合的対策が必要だ。そして、その前提となるのが、20年以上の長期調査と専門職員の配置である。

全国が兵庫県の成功例に学び、国が予算と人材を確保する体制を整えることが、クマ被害を最小限に抑え、生態系を守る唯一の道といえるだろう。

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