- さいたま市の2025年度アライグマ捕獲数が1,100頭を超え過去最多に
- 埼玉県内の農作物被害額でもアライグマがトップの約1,922万円を記録
- 捕獲手段は箱わなのみで、市内に「捕獲等従事者」の登録者が一人もいない
- 市議会では捕獲を促進するための「報奨金」の導入も検討され始めている
1. 概要(何が起きたか)
さいたま市において、特定外来生物アライグマの捕獲数が爆発的に増加しています。市環境対策課によると、約20年前には年間2桁程度だった捕獲数が、近年は毎年100頭ペースで増加。2024年度の926頭に対し、2025年度は12月末時点ですでに1,100頭を突破し、年度末には前年度比3割増となる見通しです。
1,000頭の大台を超えたのは市内初であり、県内市町村の中でも最も多い捕獲数となっています。
2. 発生の背景・原因
アライグマがこれほど急増している背景には、以下の要因が挙げられます。
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- 天敵の不在: 日本の生態系においてアライグマを捕食する天敵が存在しない。
- 高い繁殖力と雑食性: 繁殖力が極めて強く、何でも食べる雑食性であるため、都市部でも生存しやすい。
- 生息域の拡大: 地域をまたいで移動するため、周辺自治体を含めた広域で個体数が増えている。
もともと日本固有の種ではないアライグマは「特定外来生物」に指定されており、生態系や人の身体、農林水産業に多大な影響を及ぼす存在となっています。
3. 関係者の動向・コメント
事態を重く見たさいたま市や県、および周辺自治体は、2024年9月に初めて有害鳥獣・外来生物の担当者会議を開催し、広域的な対策に向けた議論を開始しました。
また、2026年2月16日の市議会では、立憲民主党の相川綾香氏が、捕獲の担い手不足を解消するために「他自治体のような報奨金制度」を提案。これに対し市側は「問題解決の方策の一つとして検討したい」と前向きな姿勢を見せています。
4. 被害状況や金額・人数
アライグマによる実害は、趣味の家庭菜園からプロの農家まで多岐にわたります。
- 農作物被害額: 2024年度の埼玉県内における被害額は1,922万円にのぼり、鳥獣被害全体の23%を占めてワースト1位となっています。
- 捕獲手段の限界: 現在、主な捕獲手段は「箱わな」の設置のみに頼っている状況です。
5. 行政・自治体の対応
さいたま市は、市民からの依頼に応じて調査や箱わなの設置、個体の捕獲・処分を行っています。しかし、現在市が直面している最大の壁は「マンパワー不足」です。
アライグマは狩猟免許がなくても、県の研修を受講して「捕獲等従事者」に登録すれば捕獲が可能ですが、さいたま市内での登録者は現在0人です。市民による自主的な捕獲が進まないことが、個体数増加の一因ともなっています。
6. 専門家の見解や分析
野生動物の専門家は、アライグマが冬場に活動を抑え、夏場に活発化するサイクルを指摘しています。住宅地の天井裏に棲みついたり、ペットフードを食い荒らしたりといった「都市型被害」も増えており、単なる農作物被害の枠を超えた対策が必要とされています。
また、特定外来生物法に基づく適切な駆除を進めるためには、個体数の把握だけでなく、市民への正しい知識の普及と捕獲への協力体制の構築が急務です。
7. SNS・世間の反応
このニュースに対し、地元住民からは不安や驚きの声が漏れています。 「可愛い見た目だけど、庭を荒らされるのは困る」 「1,000頭超えは驚き。知らない間に近所に潜んでいるかも」 「報奨金が出るなら研修を受けてみようかな」
一方で、捕獲後の処分の難しさや、動物愛護の観点から複雑な思いを抱く声も見られます。
8. 今後の見通し・影響
今後、さいたま市が検討している「報奨金制度」が導入されれば、現在ゼロである捕獲等従事者の増加が期待されます。しかし、アライグマは市境を越えて移動するため、単独の自治体での対策には限界があります。
今後は近隣市町との連携をさらに強化し、エリア全体で密度を下げる「広域防除」の成否が、さいたま市の平穏な暮らしを守る鍵となるでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q:庭にアライグマが出たらどうすればいいですか?
A:さいたま市環境対策課に連絡すると、調査や箱わなの設置などの相談に乗ってもらえます。
Q:自分で捕まえてもいいのですか?
A:特定外来生物のため、勝手な飼育や運搬は禁じられています。県の研修を受けて「捕獲等従事者」として登録するか、専門の業者・自治体に依頼する必要があります。
Q:アライグマを見分けるコツは?
A:尻尾に黒いしま模様があるのが特徴です。タヌキやハクビシンと混同されやすいので注意しましょう。
さいたま市で深刻化するアライグマ問題。過去最多の捕獲数を記録し、農作物への被害も甚大です。市民ボランティアの不足という課題に対し、報奨金検討などの新たな一歩が踏み出されようとしています。地域の生態系と私たちの暮らしを守るため、一人ひとりがこの問題に関心を持つ時期に来ているのかもしれません。


