花粉症の薬で月1500円増?知らずに困る新制度の中身

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もしあなたが病院でロキソニンやアレグラ、保湿剤などを処方されているなら、2027年3月から薬代の仕組みが変わる可能性があります。厚生労働省は、市販薬と成分や効能が近い「OTC類似薬」について、患者に追加負担を求める制度を進めています。

対象として示されたのは77成分、1,042品目です。薬剤費の4分の1が「特別の料金」として保険給付の対象外となり、通常の自己負担に加算されます。厚労省は年間約900億円の医療費削減効果を見込みますが、花粉症などでは月1,500円程度の負担増になる試算もあります。

一方、慢性疾患の患者からは、治療を続けられなくなるのではないかという不安が出ています。反対署名は11万筆を超え、患者団体などが制度の撤回を求めました。対象薬、配慮措置、今後確認したい点を整理します。

この記事のポイント
  • 制度変更:2027年3月からOTC類似薬の薬剤費の4分の1が特別の料金となる予定です。
  • 対象範囲:ロキソプロフェン、フェキソフェナジン、保湿剤など77成分・1,042品目が示されています。
  • 負担の仕組み:薬剤費の一部に通常の1~3割負担とは別の料金が加わります。
  • 配慮措置:子ども、生活保護受給者、入院患者、がん・指定難病の治療などは対象外と整理されています。
  • 反対の声:慢性疾患の患者や全国保険医団体連合会が、治療継続への影響を懸念しています。

OTC類似薬の負担増とは

今回の見直しは、処方薬を全面的に保険対象から外すものではありません。保険を残したまま、薬剤費の一部を別料金として患者が支払う仕組みです。

OTC類似薬は市販薬と近い成分の処方薬

OTCは、薬局やドラッグストアなどで購入できる一般用医薬品を指します。OTC類似薬は、医療機関で処方される医療用医薬品のうち、OTC医薬品と成分や投与経路が同じで、1日最大用量も異ならないものを中心に選ばれています。

ただし、医療用医薬品とOTC医薬品は、効能・効果、用法・用量、使用できる年齢、医師の診断を前提とするかどうかなどが異なる場合があります。そのため、単純に「同じ薬」と考えることはできません。

厚労省の資料では、対象薬の主な対応症状として、鼻炎、胃痛・胸やけ、便秘、解熱・痛み止め、風邪症状、腰痛・肩こり、みずむし、口内炎、皮膚のかゆみ・乾燥肌などが挙げられています。

出典:厚生労働省「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について」

通常の自己負担に特別料金を加算

新制度では、対象薬の薬剤費の4分の1を「特別の料金」として保険給付の対象外にします。残りの薬剤費には、これまでと同じように年齢や所得などに応じた1~3割の自己負担がかかる仕組みです。

例えば薬剤費が1,000円で、通常の自己負担が3割の場合、現行制度では患者負担は300円です。見直し後は、薬剤費の4分の1にあたる250円が特別の料金となり、残り750円に対する3割の225円を加え、単純計算で475円となります。

実際の金額は薬価、処方量、調剤に関する費用、特別の料金にかかる消費税などによって変わります。診察料や調剤基本料などの技術料まで、同じ割合で増える制度ではありません。

制度変更の主な内容
項目 内容 ポイント
開始時期 2027年3月を予定 詳細な運用準備が進められています
対象薬 77成分・1,042品目 2026年8月1日時点の厚労省資料
追加負担 薬剤費の4分の1 通常の自己負担とは別に発生
対象外の例 子ども、生活保護受給者、入院患者など 病気や処方目的による条件があります
削減効果 年間約900億円の試算 保険料への影響は限定的とされます

厚労省の資料では、対象医薬品は77成分・1,042品目とされています。ロキソプロフェン、フェキソフェナジン、ロラタジン、ヘパリン類似物質など、痛み止め、抗アレルギー薬、保湿剤に関係する成分も含まれます。

一方、すべての処方薬が対象になるわけではありません。処方された薬の成分が対象一覧に含まれるか、また、その薬がどの病気や症状に使われるかによって、特別の料金の有無が変わる可能性があります。

なぜ見直しが進むのか

制度の背景には、医療保険財政と患者間の負担の公平性をめぐる議論があります。ただし、医療機関での診察や診断まで市販薬と同じになるわけではありません。

保険料負担の上昇を抑える狙い

厚労省は、OTC医薬品でも対応できる症状について、医療用医薬品の給付の一部を見直すことで、現役世代を中心とする保険料負担の上昇を抑える考えを示しています。

報道では、制度による国の医療費削減効果は年間約900億円とされ、現役世代の社会保険料は1人あたり年400円、月額では約33円下がる試算が紹介されています。ただし、これは全体の平均的な効果であり、患者ごとの薬代が同じ額だけ下がることを意味しません。

特に複数の薬を長期間使う人は、保険料の軽減額よりも、窓口で支払う薬剤費の増加を大きく感じる可能性があります。制度の評価では、財政効果だけでなく、治療の継続や受診行動への影響も確認する必要があります。

市販薬と処方薬の違いが議論に

市販薬は、患者が症状を確認し、薬剤師や登録販売者に相談しながら購入することを前提としています。一方、医療用医薬品は、医師が診察や診断を行い、患者の病状や併用薬などを踏まえて処方します。

同じ成分が含まれていても、医療用医薬品にしか認められていない効能・効果がある場合があります。厚労省の検討資料では、例えばフェキソフェナジンについて、医療用ではアトピー性皮膚炎などに伴うかゆみに使われる一方、OTCでは主にアレルギー性鼻炎の症状が対象と整理されています。

そのため、成分名だけで追加負担の対象かどうかを判断することはできません。制度の運用では、処方目的や病気との関係を医師が確認し、処方箋やレセプトに反映する流れが想定されています。

患者への影響と当事者の不安

負担増の影響は、薬を使う期間、種類、処方量、所得、病気との関係によって変わります。慢性疾患の患者からは、制度上の線引きが治療実態に合わないのではないかとの声が出ています。

花粉症や皮膚症状では複数の薬を使用

報道では、花粉症で受診し、内服薬、点眼薬、点鼻薬が処方された場合、3割負担の患者で月約1,500円の負担増になる例が紹介されています。実際の金額は処方内容によって異なります。

アトピー性皮膚炎では、症状の出る部位や程度に応じて、軟膏、クリーム、ローションなどを使い分けることがあります。季節によって症状が変わり、薬を毎日ではなく一定期間だけ使う患者もいるため、単純な処方日数だけでは治療の継続性を捉えにくい面があります。

厚労省の整理では、アトピー性皮膚炎の再発予防を目的にステロイド外用薬を通年で使用する場合や、一定の条件を満たす保湿剤の使用は、追加負担の対象外とする方向が示されています。ただし、対象となる薬や使用目的には条件があります。

慢性疾患の患者から治療継続を懸念する声

全国保険医団体連合会は、2026年9月17日、制度の中止を求める署名11万143筆を厚生労働省の担当者に提出しました。団体は、関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、アレルギー疾患などの患者への影響を懸念しています。

報道で紹介された関節リウマチ患者は、痛み止めを使いながら建設業で働いており、負担が増えた場合に治療を続けて仕事や生活を維持できるのか不安だと訴えました。

アトピー性皮膚炎の患者からは、治療中に薬が変わると、長期治療を続けていても配慮対象から外れるおそれがあるとの指摘が出ています。治療薬の変更が症状の変化や医師の判断によるものであれば、制度上の判定方法が患者の実態と合うかが焦点になります。

出典:全国保険医団体連合会「追加負担の中止を求める厚労省要請、署名提出」

追加負担の対象外となる条件

厚労省の検討資料では、必要な医療を確保するため、一定の患者や処方場面を特別の料金の対象外とする考え方が整理されています。対象外でも、病気との関係や処方目的によって条件が分かれます。

子どもや生活保護受給者は対象外

18歳に達した後、最初の3月31日までの子どもに対象薬が処方された場合は、特別の料金を求めない整理となっています。また、生活保護の医療扶助を受けている人も対象外とされています。

子どもについては、成長過程にあり、受診行動や医療の必要性が大人と異なること、自治体の子ども医療費助成制度が広く実施されていることなどが考慮されています。

ただし、自治体の助成制度と今回の仕組みがどのように組み合わされるかは、地域や制度の運用確認が必要です。対象年齢や窓口負担は自治体ごとに異なる場合があるため、個別の案内を確認する必要があります。

慢性疾患や長期使用にも条件付き配慮

がん患者は、がんの治療や治療に伴う副作用・有害事象への対応として対象薬を使う場合、追加負担の対象外とされます。指定難病患者も、指定難病やそれに付随して生じた傷病の治療に使う場合は対象外となる整理です。

入院中や退院時の処方、検査・処置・手術に伴う鎮痛や感染予防などの目的で、処置と同日に処方される薬も、一定の条件と日数の範囲で対象外となります。

医師が長期使用を医療上必要と判断する場合は、内服薬では少なくとも6か月の使用実績があり、直近の実績を含めて年間おおむね50週の継続使用が必要とされることが目安です。外用薬は薬の種類や疾患ごとに、さらに細かな条件が設定されています。

現時点で分かっていないこと:
  • 患者が実際に支払う最終的な金額は、薬価、処方量、調剤費などによって異なります。
  • 治療薬の変更や一時的な使用中断がある場合に、長期使用の条件をどう判定するかは、個別の運用確認が必要です。
  • 制度開始後に受診控えや治療中断がどの程度起きるかは、現時点では分かっていません。
  • 将来的に対象成分や特別の料金の割合を拡大・変更するかは、今後の検証に委ねられています。

今後の確認点と注意事項

制度開始までに、対象薬の一覧、対象外となる病気や処方目的、医療機関と薬局での確認方法が示される見込みです。患者側では、薬の名前だけで判断せず、処方目的と自身の治療経過を確認することが重要です。

処方薬の名前と使用目的を確認

同じ成分の薬でも、鼻炎に使う場合と皮膚疾患に伴うかゆみに使う場合では、OTC医薬品との効能・効果の対応関係が異なる可能性があります。薬の成分名だけでなく、何の病気に対して処方されているかを医師や薬剤師に確認してください。

慢性疾患で長期使用している場合は、過去の処方履歴、お薬手帳、診療情報などが判断材料になることがあります。治療薬を変更した時期や、使用頻度が季節によって変わる場合も、診察時に伝えておくと確認しやすくなります。

制度の対象になったとしても、自己判断で薬を減らしたり、市販薬へ切り替えたりすることが適切とは限りません。症状や併用薬によって注意点が異なるため、変更を検討する場合は医師や薬剤師に相談する必要があります。

制度開始後の影響検証が焦点

国会の附帯決議では、必要な受診の確保、重症化の防止、医療費への影響を総合的に確認し、患者に過度な負担や受診抑制が生じないよう配慮することが求められています。

制度が始まった後は、追加負担を理由とした受診控え、薬の使用中断、症状の悪化、医療機関や薬局での事務負担などをどのように把握するかが課題になります。

対象外の条件が複雑になると、同じ病気でも医師の判断や処方目的によって患者負担が変わる可能性があります。判断基準が分かりやすく周知され、患者が納得できる説明を受けられる体制が必要です。

読者が確認したいポイント
  • 薬の成分:処方薬が77成分・1,042品目に含まれるか、医療機関や薬局で確認してください。
  • 処方目的:同じ薬でも、鼻炎、皮膚疾患、慢性疾患など目的によって扱いが変わる可能性があります。
  • 長期使用の記録:継続期間や使用頻度が分かるお薬手帳、処方履歴などを保管しておくと確認に役立ちます。
  • 対象外の条件:年齢、入院、指定難病、公費負担、処置に伴う処方などに該当するか確認してください。
  • 窓口への相談:負担額や治療の変更に不安がある場合は、自己判断せず主治医や薬剤師、加入する医療保険の窓口へ相談してください。
よくある質問
Q1.OTC類似薬はすべて保険適用から外れるのですか?
A.すべてが保険適用から外れるわけではありません。今回の仕組みは保険を残したうえで、対象薬の薬剤費の4分の1を特別の料金として別に負担するものです。
Q2.ロキソニンやアレグラを処方されたら必ず負担が増えますか?
A.必ず増えるとは限りません。対象成分であっても、処方目的がOTC医薬品では対応できない効能・効果に該当する場合や、対象外となる患者・療養に該当する場合があります。
Q3.アトピー性皮膚炎の薬は対象外になりますか?
A.すべてのアトピー性皮膚炎の処方が対象外になるわけではありません。厚労省資料では、一定の条件を満たす通年使用の保湿剤や、再発予防を目的とする外用薬などを対象外とする整理が示されています。個別の扱いは処方目的や使用実態によって確認が必要です。
Q4.負担が増えた場合、市販薬へ切り替えればよいですか?
A.一律に切り替えられるとは限りません。医療用医薬品とOTC医薬品では効能・効果や用法が異なる場合があり、持病や併用薬によって注意が必要です。変更を考える場合は医師や薬剤師に相談してください。
まとめ
  • 2027年3月からOTC類似薬の一部で、薬剤費の4分の1が特別の料金となる予定です。
  • 対象として77成分・1,042品目が示され、ロキソニン、アレグラ、保湿剤などに関係する成分が含まれます。
  • 通常の1~3割負担に加えて料金が発生するため、複数の薬を使う患者ほど影響が大きくなる可能性があります。
  • 子ども、生活保護受給者、入院患者、がん・指定難病の治療などは対象外と整理されていますが、条件があります。
  • 具体的な負担額や一部の運用、制度開始後の影響は、今後の通知や公式案内を確認する必要があります。

OTC類似薬の見直しは、医療保険の持続性や負担の公平性を考える一方、慢性疾患の患者にとっては、日々の治療費や生活の維持に直結する問題です。年間の平均的な保険料軽減と、個々の患者の負担増は分けて考える必要があります。

制度開始までに、対象薬の一覧、配慮措置の具体的な判定方法、医療機関や薬局での説明手順が示される見込みです。薬を継続して使用している人は、厚生労働省や加入する医療保険、主治医・薬剤師からの案内を確認してください。

出典:厚生労働省「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について」

出典:FNNプライムオンライン「病院で処方される『OTC類似薬』の負担増に反対署名11万筆」

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