・ダルビッシュが2度目のトミー・ジョン手術
・来季全休、2026年復帰見込み
・来年WBCは絶望的、SNSで復帰意欲
・40歳シーズンをリハビリに充てる決断
ダルビッシュ2度目のトミー・ジョン手術、来季全休
パドレスは4日、ダルビッシュ有投手が右肘の内側側副靱帯再建術、いわゆるトミー・ジョン手術を受けたと発表しました。これは投手にとって最も大きな決断のひとつであり、当面の戦線離脱は避けられません。1度目の手術から約9年、再びその道を選んだ背景には、単なる痛みや疲労だけでなく、今後の投球スタイルやキャリアに対する熟考があったと考えられます。
今季は肘の不調が長引き、コンディション調整が難しい中での登板が続いていましたが、最終的にはメスを入れる選択をしました。本人はSNSで「また気持ちよく投げられるようにリハビリを頑張ります」と気丈に語り、ファンに希望を託しました。来季の登板機会はありませんが、長い回復期間を経て再びマウンドに立つ姿を見せてくれることを期待したいところです。
ダルビッシュのこれまでのキャリアと特徴
ダルビッシュ有といえば、NPB時代から圧倒的なポテンシャルでファンの心を掴んだ、日本を代表する右腕です。プロ入り当初から非凡な球質と柔軟な投球スタイルで注目を集め、ストレートだけでなく多彩な変化球を操る投手として知られてきました。一球ごとの緻密な分析と調整、そして探究心の高さにより、年齢を重ねても新たな球種を開発し続ける姿勢が話題になることも多い選手です。
メジャー挑戦後はレンジャーズ、ドジャース、カブスを経てパドレスで活躍。速球に頼らず多彩な武器を進化させる姿勢は、現代の分析野球の象徴とも言えるでしょう。肉体的な衰えに対しても技術と知性で適応し、年齢を重ねても最前線に立ち続けています。今回の手術はキャリアの大きな分岐点ですが、これまでの歩みを見る限り、再び進化した姿を見せてくれる期待は十分です。
過去の戦績とここ数年の成績比較
今季は右肘の炎症に悩まされながらも、実戦に戻り15試合に登板。5勝5敗、防御率5.38と本来の姿からは遠い数字となりましたが、コンディションの限界が明らかに見える中での登板であったことを考えれば、数字以上に精神的な負担が大きかったことは想像に難くありません。シーズン後半にはフォームを工夫し、腕の角度を調整するなど、あらゆる手段を試していました。
過去の手術時には14カ月でメジャー復帰を果たした実績があり、今回も医学的には回復の見込みがあります。しかし今回は年齢も要素として加わります。とはいえ、技術体系を持つベテラン投手であるダルビッシュにとって、体力の衰えを技術で補う判断ができることは強みです。長期的な視点で身体を整え、復帰時にはさらに成熟した投球術が見られるかもしれません。
2024年終盤の苦闘と決断
終盤戦では、投球フォームの微調整と試行錯誤が続きました。腕の角度を下げることで負担を軽減しつつ、球質を保とうとする姿は、状況に合わせて柔軟にスタイルを変えてきたダルビッシュの真骨頂とも言えます。しかし、それでも思うようにボールが走らず、身体と精神の限界が見えていました。オフに向けてのコメントからも、ただの疲労ではなく深刻な痛みと戦っていたことが伝わります。
ワイルドカードシリーズの最終登板では2回途中2失点で降板。試合後、「全て出し切った」「精神的にも肉体的にも限界だった」と語った言葉は、手術決断までの背景を物語ります。結果だけを見れば苦しい終え方でしたが、何とかシーズンを戦い抜こうとする姿勢に、多くのファンが心を打たれました。
球団の対応と戦術的影響
パドレスはダルビッシュと長期契約を結んでおり、この手術を球団としても全面的にサポートする方針です。投手陣の再編としては、若手投手の起用機会が増える可能性もあります。ダルビッシュが復帰するまでの2シーズンは戦力面での影響が避けられませんが、その間に若手育成や戦術の整理が進むことで、球団にとって新たな成長の機会になるとも言えます。
また、ダルビッシュが培ってきた分析力や知見は、リハビリ期間中も若手投手への助言や球団の戦略面で活かされることが期待されます。単なる「戦力の欠如」としてではなく、組織としての強化期間と捉えることもできる点で、チームに与える影響は長期的にプラスとなる可能性があります。
ファン・メディアの反応
SNSでは「絶対に戻ってきてほしい」「ダルなら復活できる」という激励が殺到しています。また、同世代や元チームメイトの選手たちからもエールが寄せられており、ダルビッシュの人望と存在感が改めて浮き彫りになっています。なかには、メジャー通算100勝、日本時代を含め200勝級の右腕の節目の再起を見たいと期待する声も目立ちます。
一方で、WBCでの姿を期待していたファンからは落胆の声も。しかし、多くは「焦らず万全の状態で戻ってほしい」という長期的視点の応援です。メディアも「40歳からの挑戦」というフレーズを用い、キャリア後半の再挑戦をドラマティックに報じています。
復帰までのロードとWBC影響
今回の手術により、来年開催されるWBC出場は絶望的となりました。しかし、ダルビッシュ自身は2026年シーズンの復帰に向けて意欲を示しており、長期的な視点で肉体を整える時間を得たとも言えます。通常、トミー・ジョン手術後の回復は12〜18カ月が目安とされており、復帰時期は2026年の夏以降が見込まれています。
40歳という年齢を考えれば厳しい道であることは間違いありません。しかし、ダルビッシュはこれまでも「常識を疑い、最適解を探す」姿勢でキャリアを歩んできました。復帰後はより精度の高い投球術で新境地を切り開く可能性があり、この挑戦は多くのベテラン選手にとっても希望を与えるでしょう。
FAQ
A. 手術から約12〜18カ月とされ、2026年シーズン中盤以降が目安です。年齢的な懸念はありますが、技術と経験を活かし、段階的に回復を進める見込みです。
Q. WBCは不参加確定ですか?
A. 回復期間が来年の大会と重なるため、事実上出場は不可能です。本人も長期的な復帰を優先するとみられています。
