韓国で急拡大「身長ビジネス」高額治療や健康被害が急増―医師も警鐘、国民的議論に発展

2025年6月、韓国で「身長ビジネス」が社会現象となり、クリニックや成長ホルモン注射の利用者が急増しています。

学歴や職業と並ぶ“スペック”として、身長が重要視される背景には、過度な競争社会や美容文化があります。

しかし、過大広告や副作用、健康被害も報告されており、国の研究機関は規制や正しい情報発信の必要性を訴えています。

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概要テーブル

近年、韓国の大都市では「成長クリニック」や「高身長サロン」と呼ばれる施設が急増しています。

こうした施設では、特殊な運動マシンや、上から引っ張る独自の装置を使った身長伸ばしプログラム、さらには医療機関による成長ホルモン注射など、子どもや若者の身長アップをサポートするメニューが提供されています。

現地メディアの報道によれば、ソウル市内の有名成長クリニックでは、月に2000人規模の患者を診察し、治療費は月額6～7万円に上るケースも珍しくありません。

実際にクリニックへ通う小学5年生や中学1年生の保護者からは「短期間で1.5センチ以上伸びた」との証言もみられます。

一方、成長ホルモン注射は健康な子どもにも広がっており、副作用や長期的リスクが無視できない段階にきています。

韓国社会では長年にわたり、学歴や職業、外見といった“スペック競争”が激化してきました。

近年は特に若い世代で「身長」がスペックの一つとして重視されるようになり、就職活動や恋愛、学校生活においても背の高さが重要視されています。

日韓の統計を比較すると、韓国の17歳男性平均身長は過去50年で7センチ伸びている一方、日本は横ばい傾向です。

これが社会的プレッシャーとなり、「他人より少しでも高くなりたい」という親子のニーズが生まれたといえます。

過去には美容整形やダイエットが流行した韓国ですが、「身長」は遺伝・体質が大きく関わるため、成長ホルモン治療や特殊運動への期待が過度に高まりやすい傾向があります。

【画像：クリニック外観と広告看板】

このビジネス拡大により、韓国の子どもや若者の間で「自分は背が低いのでは」という不安や劣等感が強まっています。

一部の家庭では月数万円の治療費を投じるため、経済的な負担も大きく、社会格差を拡大する要因との指摘もあります。

また、医学的根拠の薄いサービスやサプリメントも出回り、うそや過大広告が横行。
最近は成長ホルモン注射を受けた子どもに骨の変形や末端肥大症などの健康被害が発生した例も報告され、問題が深刻化しています。

SNSやメディアでは「背の高さ至上主義」への批判も出ており、「正しい医療情報や社会的啓発が必要」との声が増えています。