札幌市の体験型民間動物園「ノースサファリサッポロ」が2025年9月30日、ついに閉園を迎えました。
しかし、園内にはいまだ哺乳類や鳥類など約300頭の動物たちが残されており、その引き取り先や飼育環境の行方に注目が集まっています。
なぜここまで混乱を招いたのか。20年にわたる営業の裏に潜む法令違反、そして動物保護の課題を掘り下げます。あなたも気になりませんか?
ノースサファリサッポロが閉園へ
「ノースサファリサッポロ」は、市街化調整区域に無許可で建設された民間動物園でありながら、20年間にわたり営業を続けてきました。
2004年から2024年までに札幌市から合計17回もの行政指導を受けながらも事業は継続され、宿泊施設や飲食スペースの開設など事業拡大も進めていました。
動物は今どこに?319匹が園内に
札幌市が9月に実施した立ち入り検査では、獣舎・フードコートなど118棟の違法建築物に加え、哺乳類209匹、鳥類79羽など計319匹の動物が確認されています。
運営会社「サクセス観光」は市に対し、動物搬出に関する計画書を提出しましたが、全動物の情報が網羅されておらず、市は補足提出を求めています。
- 閉園時点で約319匹の動物が園内に残る
- 動物搬出計画には不備があり市が再提出を要求
- 大型動物は引き取り先が見つかりにくい現実
- 引き取り費用は園側が支払う必要も
動物の引き取り先は見つかるのか?
大学の准教授(動物園学)は「大型であればあるほど引き取り先が見つかりにくい。代金を払ってでも確保すべき」と指摘します。
特に猛獣や爬虫類などは、一般的な動物園でも飼育スペースに限界があり、すべての動物の行き先確保は容易ではありません。
現場ではどんな状況か?
ノースサファリは「動物とふれあえる」体験型として人気がありましたが、閉園直前でも一般公開が続いていました。
スタッフが動物たちの搬出準備や解体作業に追われる一方で、園内の動物たちは普段通りの姿で過ごしていたという報道もあります。
運営会社の声明と今後の対応
運営会社は9月29日、ホームページ上で「受け入れ先についても調整が進んでおり、動物に負担がかからないよう細心の注意を払う」との方針を示しました。
一方で、准教授は「生命と安全に支障がある場合、獣舎の撤去や移動の停止もやむを得ない」と園側の責任を強調しています。
SNSでも心配の声が続出
X(旧Twitter)などでは「動物たちが無事に引き取られてほしい」「どうしてもっと早く対応しなかったのか」といった声が広がっています。
また、一部では「クラウドファンディングで引き取り支援を」という提案も見られ、社会全体で動物の命に向き合う姿勢が求められています。
行政はどこまで責任を負うべきか
札幌市はこれまで都市計画法違反を認識しながらも、事業拡大を容認してきた経緯があります。秋元市長も「早期対応の余地があった」と反省を述べました。
今後は市が内規をもとに違法施設への対応を強化し、閉園後の動物確認も継続される見通しです。
FAQ
A. 一部は他施設に搬出予定ですが、全動物の引き取り先は未定です。
A. 動物愛護と都市計画の部署が分かれており、法的な対応が分断されていたためです。
A. 非公開の内規を運用し、違法建築物への指導を強化するとしています。
まとめ:命をどう守るかが問われている
ノースサファリサッポロの閉園は、動物保護と都市政策のはざまで起きた混乱の象徴です。
残された動物たちの命をどう守るのか。運営側・行政・社会それぞれの責任と覚悟が問われています。今後も引き続き注視が必要です。