稚内・弁天島にトド3000頭が集結!被害10億円の背景とは?

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火事や倒産など生活に影響を与える重大ニュースの共通イメージ

2026年1月下旬、北海道北部の海で異変が起きています。稚内市沖の無人島・弁天島に、「海のギャング」とも呼ばれるトドの大群が押し寄せ、その数はおよそ3000頭に達しました。この時期としては観測史上最大級とされ、北海道庁の発表では、トドによる漁業被害はすでに約10億円規模に拡大しています。

なぜ、これほどまでに大量のトドが集結したのか。市街地に近い海域での目撃も相次ぎ、漁業関係者だけでなく、地域住民の生活や安全への影響も懸念されています。北の海でいま何が起きているのか、その背景と現実を整理します。

1. 今回の概要(どこで何が起きたのか)

2026年1月29日、北海道稚内市の沖合に位置する無人島「弁天島」で、異例の規模となるトドの大群が確認されました。空撮や現地調査の結果、その数は約3000頭。島の岩場一帯を茶色の巨体が覆い尽くす光景は、自然の迫力を超え、漁業への深刻な脅威として受け止められています。

トドは例年、冬にロシア方面から南下しますが、この時期に3000頭規模が確認されるのは極めて珍しく、地元漁協からは「これほどの数は記憶にない」と困惑の声が上がっています。

今回のニュースの要点
  • 北海道・弁天島に約3000頭のトドが集結
  • この時期としては過去最多規模
  • 2024年度の漁業被害額は約10億円に到達
  • ニシン・ホッケなど主要魚種への被害が深刻

2. トドが大量出没した背景・原因

専門家が指摘する最大の要因は、海水温の変化による餌場の移動です。道総研・稚内水産試験場の調査では、これまでトドがあまり利用してこなかった海域にまで分布が広がっていることが確認されています。

加えて、ロシア沿岸での繁殖成功率の上昇や、日本近海における特定魚種の資源量変動も影響している可能性があります。知能が高いトドは、効率よく餌を確保できる場所を学習するため、豊かな漁場が集中する北海道沿岸が“定着地”となりつつあるとみられています。

3. 現場の目撃情報と異様な状況

弁天島周辺では、トドの鳴き声が遠くまで響き、常に騒然とした状態が続いています。体長3メートル、体重1トンを超える大型のオスも多く、その圧倒的な存在感は、まさに「海の王」と呼ぶにふさわしいものです。

一方で漁師たちにとっては深刻な現実です。トドは島に留まるだけでなく、周辺海域で活発に採餌を行い、漁船の周囲を泳ぎ回る姿も頻繁に目撃されています。

4. 人身被害は?深刻化する物的・経済的被害

現在までに、人への直接的な襲撃などは報告されていません。しかし、経済的被害は壊滅的です。北海道庁によると、2024年度のトド被害額は約10億円に達しました。

  • 漁網の破損: 鋭い牙と怪力で網を引き裂く
  • 食害: 水揚げ前の魚を捕食
  • 漁場の機能低下: 魚群が散り操業不能に

網の修理だけで数百万円かかる例もあり、漁師の離職や経営悪化に直結しています。

5. 【独自集計】トドによる漁業被害額の推移

被害は一過性ではなく拡大傾向

年度 被害推計額 主な被害エリア
2022年度 約6.5億円 日本海北部・オホーツク海
2023年度 約8.2億円 全道域に拡大
2024年度 約10.1億円 稚内・弁天島周辺で急増

※北海道庁などの公表資料を基に作成。網修繕費・食害損失を含む。

6. 行政・自治体の対応

北海道庁や関係機関は、水産庁の許可に基づく有害鳥獣駆除を実施しています。国際的な保護の観点も踏まえつつ、採捕枠を設けた個体数調整が行われています。

また、爆音機や忌避音装置などを使った追い払い対策も進められていますが、被害拡大のスピードに十分追いついていないのが現状です。

7. 専門家の見解

道総研・稚内水産試験場の堀本高矩さんは、「これまで利用されなかった海域にまで分布が広がっている」と指摘します。トドの行動変化に、従来の対策だけで対応するのは難しくなっています。

専門家は、単なる駆除ではなく、防護技術や共存型対策の開発が不可欠だとしています。

8. 地域住民・SNSの反応

SNSでは、「3000頭は想像を超える」「被害10億円は最終的に魚価に跳ね返る」といった声が相次ぎました。

一方で、「自然環境の変化を招いたのは人間側では」という指摘もあり、野生動物との向き合い方を問う議論が広がっています。

9. 今後の見通しと住民への影響

群れが定着・南下すれば、北海道産水産物の流通や価格にも影響が及ぶ可能性があります。観光やレジャー面でも、遭遇リスクへの警戒が必要です。

【もしも見かけたら】トド遭遇時の緊急行動マニュアル

  • ① 10メートル以上距離を取る
    不用意に近づくと突進の危険あり
  • ② 目を合わせず静かに離れる
    凝視は威嚇と受け取られる
  • ③ 餌付け・大声・フラッシュ禁止
    学習・パニックを招く

※特に冬の移動期や春の換毛期は要注意

10. まとめ

弁天島に現れた3000頭のトドは、自然の異変であると同時に、漁業被害10億円という現実的な社会問題です。環境変化が生んだこの状況に、私たちは「野生動物との距離」と「持続可能な漁業」の在り方を突きつけられています。

今後は、監視技術や防護策の高度化など、官民一体の対策が不可欠です。北の海の未来を守るため、動向を注視していく必要があります。

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