・山本由伸がWS連覇+MVPの歴史的快挙
・中0日&中1日登板で“魂の投球”
・シーズン+PS=36試合211回のフル稼働
・「ピークはあと1〜2年」の警鐘も
中0日で胴上げ投手に|英雄の影に潜む危険
山本由伸のポストシーズンは、まさに“魂の連投”でした。第2戦、第6戦で先発勝利、さらに中0日で第7戦にリリーフ登板し、1失点の危機を抑えて胴上げ投手に。実況席もファンも驚愕し、米メディアは「野球神話の再来」と称賛。一方で、肩にかかる負担は常軌を逸するレベルだったことは確かです。
日本時代から制球力と回転数を武器にしつつ、身体のサイズで劣る分、筋力とフォーム負担で補ってきた山本。短期間での強度負荷は、右肩腱板や肘靱帯へのダメージに直結する可能性があります。山本自身は「準備していた」と語っていますが、リスクを理解しながら戦い続けた姿勢は極限の覚悟を物語っています。
36試合211回|歴史的投球数が示す消耗度
レギュラーシーズンだけで173.2回、ポストシーズンでさらに37.1回を積み上げ、合計211回。メジャー1年目とは思えないハイペースです。しかも3月の日本開幕戦からローテーションの中心。故障者続出のチームを支え続けた結果、肩と腰、体幹への負荷は想像以上です。
過去の事例では、1年目200イニング級の投手は翌年以降に離脱や成績低下を招くケースが多く、投手史で見ても負荷量は最高水準。さらに山本はWBCを挟んだ2023年にも193イニングを投げており、2年連続高負荷と考えるとリスクは顕著です。
右肩腱板損傷の過去と「ピークあと1〜2年」論
今年6月に右肩腱板損傷で約2カ月半離脱した山本。オリックス時代から腰、脇腹、肩と故障歴を抱えてきた体質もあり、メジャー関係者は「最高のパフォーマンスはあと1〜2年」と慎重な見方を示します。もちろんこれは極端な予測であり、科学的トレーニングとケアで延命可能ですが、身体の小ささを補ってきた歴史があるだけに、慎重な運用が求められます。
一方で、山本は調整の巧さで評価されており、球速に頼らず変化球精度やメカニクスで勝負する投手。球速ピークが過ぎても活躍できるタイプと見る専門家も多いです。鍵は「投げられるから投げる」思考を抑え、球団が長期視点のケア運用を徹底できるかどうかです。
中0日志願の背景|勝負師のメンタリティ
延長18回までもつれた試合で中1日志願、WS第7戦で中0日登板——山本は状況とチームのために自身の身体を投げ出した格好です。これは単なる根性論ではなく、「勝てると判断すれば投げに行く」という勝負師のDNA。
その姿勢はファンを魅了しますが、長期契約の球団からすれば「守る勇気」が本人に必要な局面。メンタルの強さとリーダーシップは本物ですが、今後のキャリアをより長く輝かせるためには、無理を止めるチーム力も重要です。
球団の評価とケアプラン|長期契約の重み
フリードマン編成本部長は山本を「これまで見た最高の投手のひとり」と絶賛。同時に「治療を受けておく」という山本の言葉から、球団としても万全のケア体制を整えていることがうかがえます。肩・肘・体幹の回復プロトコル、投球間隔の管理、機能性トレーニング、回復期のワークロード制御——科学面のサポートはMLB最高レベルです。
とはいえ、本人の競争心が強い中、いかにして制御ラインを引くかが鍵。ドジャースは「使い潰しではなく共存」を掲げており、投手寿命の最適化がシーズン戦略の中心になるといえます。
ファンとメディアの受け止め
ファンからは驚きと称賛の声が寄せられ、「サムライすぎる」「伝説」といったコメントが並びます。同時に、「無理しないで」「長く見たい」という思いも強く、二律背反の感情が渦巻いています。スポーツメディアも「勇気」「狂気」「英雄」「危険」の言語が混在し、歴史的瞬間とリスクの両面を伝える論調が目立ちます。
特に日本側ではWBCへの期待も重なり、「起用法は慎重に」という声が強まっています。山本のキャリアはまだ27歳。ファンは長期的に輝く姿を望んでいます。
今後の展望|来季WBCと登板管理
山本は来春のWBC出場について明言していませんが、野球日本代表からすれば絶対的エース候補です。とはいえ、もし今季と同じ“全開スタート”となれば、再び負傷リスクが高まる可能性があります。鍵を握るのは起用法と調整段階の細やかな負荷管理。球団としては、短期大会と長期シーズンの両立が課題です。
WBC参加の可否は、本人の意思とドジャースの戦略、そして医療スタッフの判断が絡むセンシティブな問題。ファンとしては、無理のない形で世界の舞台に立ってほしいところです。
FAQ
A. 近年の投手運用では極めて多い数字です。PSの高強度投球も含めると負担は大きいです。
Q. 今後の故障リスクは?
A.ゼロではありませんが、適切なケアと球団管理で軽減できます。
