山形県小国町で2023年4月に起きたクマ駆除中の誤射事故が、再び注目を集めています。猟友会の隊員が発砲した銃弾が別の男性の右膝に命中し、重傷を負わせたこの事件で、町は被害者に支払った補償金約1663万円を誤射した隊員に求償する方針を固めました。
なぜ町は隊員個人に全額請求するのか、重過失が認められるかどうかが最大の争点となっています。クマ被害対策の一環で行われたはずの駆除作業が、思わぬ人身事故につながり、行政と住民の信頼関係にも影響を及ぼしています。あなたも「安全管理は十分だったのか」と疑問に思いませんか？本記事では事件の全容と最新動向を詳しく解説します。
事件概要（何が起きたのか）
2023年4月、山形県小国町で「鳥獣被害対策実施隊」がクマ駆除を実施していた際、猟友会に所属する隊員が発砲した散弾が、現場にいた別の男性の右膝に命中する事故が発生しました。
被害を受けた男性は重傷を負い、後遺障害が残る可能性も指摘されています。この事故を受け、被害男性は町を相手取り、慰謝料など約3000万円を求める国家賠償法に基づく損害賠償訴訟を提起。現在も裁判が続いており、「隊員の重過失があったかどうか」が最大の争点となっています。
発生の背景と原因
小国町はクマの出没が頻発する地域で、町は猟友会と連携して「鳥獣被害対策実施隊」を組織し、積極的に駆除活動を行っていました。
事故当日はクマの痕跡を確認し、隊員数名で山林に入り駆除作業を実施。誤射に至った直接的原因は、発砲時の安全確認不足とされています。銃口の管理や周囲の状況把握に不備があったとみられ、狩猟現場での基本的な安全ルールが守られていなかった可能性が高い状況です。
関係者の動向・コメント
被害男性側は「一生残る後遺障害を負わされた」として、町に対して厳しく責任を追及する姿勢を崩していません。一方、誤射した隊員は猟友会会員として町の委託を受けて活動しており、個人としてのコメントは控えられています。
- 2023年4月 小国町でクマ駆除中に誤射事故発生
- 猟友会隊員の銃弾が別の男性の右膝に命中
- 町が被害者に約1663万円を補償済み
- 裁判で「重過失」が認められれば町に求償権発生
- 2025年12月議会で隊員・保険会社への求償訴訟議案が可決
被害状況と補償金額
- 被害部位：右膝に散弾が命中
- 傷害の程度：重傷（後遺障害の可能性あり）
- 町が被害者に支払った総額：1,663万円（治療費・慰謝料・逸失利益など）
行政・警察・企業の対応
小国町は2025年12月10日の町議会で、誤射した隊員および加入保険会社を相手取った求償権行使の訴訟提起に関する議案を可決しました。警察は当時、業務上過失致傷の疑いで捜査を行いましたが、処分は保留となっています。
専門家の見解・分析
狩猟事故に詳しい専門家は「駆除現場では複数人が銃を携帯するため、銃口管理と発砲タイミングの統一が極めて重要」と指摘。また法律専門家は「国家賠償法第1条2項の求償権行使は、故意または重過失が認められた場合に限られるため、裁判所の判断が鍵になる」とコメントしています。
SNS・世間の反応
- 「クマ駆除は必要だけど、安全管理が甘すぎる」
- 「1663万円を個人に請求するのは酷ではないか」
- 「被害者も加害者も地元住民…町全体が苦しんでいる」
- 「猟友会の高齢化と安全意識の低下が問題」
今後の見通しと影響
現在進行中の裁判で「重過失」が認められれば、町は正式に隊員個人に対し1663万円の求償訴訟を提起する見込みです。この事件は、全国の自治体が行う鳥獣駆除活動の安全管理体制にも影響を与える可能性があります。
まとめ
小国町クマ駆除誤射事故は、鳥獣被害対策の難しさと安全管理の重要性を改めて浮き彫りにしました。町が支払った1663万円を隊員に求償する異例の事態は、裁判の行方次第で全国の駆除活動にも大きな影響を与えるでしょう。地域住民の安全を守るための対策が、逆に住民同士の対立を生むという皮肉な結果となりました。
