朝の静かな住宅街、いつもの通勤・通学路に「もしも馬が歩いていたら」……。あなたは自分の目を疑わずにいられるでしょうか。
2026年1月5日の早朝、神奈川県川崎市多摩区で、そんな映画のワンシーンのような出来事が現実に起こりました。明治大学のキャンパスから一頭の馬が脱走し、パトカーに見守られながら路上を闊歩したのです。幸いにも怪我人はなく、馬も自ら「帰宅」するという結末を迎えましたが、この騒動は現代社会における動物と人間の距離感について、私たちに大切な視点を与えてくれています。
【ニュースの概要】
5日午前7時半ごろ、川崎市多摩区で「馬が徘徊している」と110番通報がありました。明治大学生田キャンパスの馬術部で飼育されている馬が厩舎から脱走。約30分間にわたり路上を歩き回りましたが、その後自らキャンパスへ戻り、事態は収束しました。
「パトカーと馬」異景の裏側にある動物の本能
SNS上では、パトカーがゆっくりと馬の後ろを追走する動画や写真が拡散され、多くの反響を呼びました。X(旧Twitter)では「シュールすぎる光景」「馬がちゃんと車道を歩いている…」といった驚きの声とともに、「無事に帰れてよかった」という安堵のコメントが溢れています。
馬術競技に使われる馬は、知能が高く、非常に繊細な生き物です。今回のケースで特筆すべきは、パニックになって暴走するのではなく、しばらく周辺を探索した後に「自分の家(厩舎)」を思い出して自力で帰還したという点です。
野生動物の生態に詳しい専門家は、次のように指摘します。
「馬は本来、群れで生活する社会性の強い動物であり、場所の記憶能力も非常に優れています。何らかの拍子に外へ出てしまったものの、見慣れない環境への不安から、最も安心できる場所である厩舎へ自ら戻ったのでしょう。パトカーが刺激を与えずに追走したことも、二次被害を防ぐ賢明な判断だったと言えます」
もし街中で「脱走動物」に遭遇したら?
今回のようなケースは稀ですが、都市部であってもペットや家畜が逃げ出してしまう可能性はゼロではありません。もし目の前に大きな馬が現れたら、私たちはどう行動すべきなのでしょうか。
- 大声を出さない: 馬は音に非常に敏感です。驚いて蹴られたり、暴走したりする危険があります。
- 近づかない・目を合わせない: 知らない人間が近づくと警戒心を煽ります。適切な距離(5メートル以上)を保ちましょう。
- すぐに110番・119番: 二次被害を防ぐため、速やかに警察や消防へ連絡を入れ、専門の対応を待ちます。
「珍しいから写真を撮りたい」という心理は理解できますが、フラッシュ撮影などは厳禁です。動物にとっても、慣れないアスファルトの道は非常に滑りやすく、恐怖を感じている状態であることを忘れてはいけません。
【FAQ】動物の脱走に関するよくある疑問
- 馬が自力で戻ったのは「賢い」から?
- はい。馬はルーティンを大切にする動物で、食事や睡眠の場所を正確に把握しています。今回のケースでは、厩舎が彼にとって「安全なテリトリー」として強く認識されていた証拠だと言えます。
- 飼い主(大学側)の責任はどうなる?
- 管理責任が問われる可能性があります。警察は脱走の経緯(扉の閉め忘れや設備の老朽化など)を調べており、再発防止策が求められます。幸い怪我人がいなかったため、厳重注意や指導にとどまることが多いですが、事故が起きれば賠償問題に発展します。
- なぜパトカーは捕まえなかったの?
- 大型動物を無理に抑え込もうとすると、馬がパニックを起こして周囲の人や車に突っ込む危険があるからです。安全な場所へ誘導するか、自発的な行動を見守るのが、動物対応の基本プロトコルとされています。
まとめ:共生とは「違い」を理解すること
明治大学の馬が見せた今回の「小さな冒険」は、笑い話で済んだからこそ、私たちに重要な教訓を残しました。それは、どれほど飼い慣らされていても、動物には予測不可能な行動をとる「野生の欠片」があるということです。
大学教育の一環として動物を育てる馬術部は、地域社会との接点でもあります。今回の騒動を機に、飼育環境の徹底した見直しが行われることでしょう。同時に、私たち市民も「街に動物がいる」という豊かさと、その背後にある責任やリスクを改めて考えるきっかけにしたいものです。
馬が自分の家に帰り、静かに藁の上で休んでいることを願わずにはいられません。動物と人間が同じ空間を共有する現代。そこに必要なのは、管理の徹底と、互いへの深い理解なのかもしれません。
あなたは、朝の路上で馬に出会ったら、最初になんと声をかけますか?

